溜め息をつき
久美子とは逆の方へとキャリーバッグを引きながら歩き出した。



その時、数メートル先に
恭也がコンクリートの壁に
背を向けて腕組みしながら
雅也を見ていたのが見えたのだ。






「振られてやんの」



「……恭也…か!?」



「兄貴久し振り、いつの間に帰国したのか。別に帰って来なくてもずっと米国(あっち)に居ても良かったのに」



「帰って来て悪いのかよ」



「出来れば、ずぅ〜っと海外に居て欲しかったぜ」



「どうゆう意味だよ」



「別に何でもない……それよりさっき久美ちゃんにあっさり帰られたな」



「それがどうかしたか」



「今日久美ちゃんは兄貴を出迎えに行ったかもしれない。けど…一年以上経てば人の気持ちも変わるんだな。今時の女の子だし」



「………」