学校が春休み期間で
高校入学前の三月某日。



雅也が突然アメリカから
帰国するという
留守電を聞いて
空港にやって来た。



久美子がそわそわした顔で
到着便の電光掲示板側の
ロビーの椅子に座っていたが
時間より早く来たせいか
落ち着かなく時計を
何度も見ていた。



時間は十六時を過ぎたばかりで
一時間以上は待つ事になる。



一秒ごと時間(トキ)が刻む度に
心臓の音が
速くなってゆくのが分かる。