その日。
珍しく何もやる事がなくて
一日ずっと部屋で
ぼーっと過ごしていた。



夕食を終えて
母親の亜紀子が入浴している間
リビングのソファに横になりながらテレビを見ていると
久美子の携帯電話が鳴り出した。






『もしもし…だ…れ…?』



「―――俺だよ。雅也。番号まだ登録してないのか?」



『――――――マシャ?』



「今、久美子の家の前に車停めてるんだけど出て来れる?」



『無理』



「即答かよ。少しでいいんだ」



『………じゃママがお風呂に入ってる間だけ』