「結、聞いてる??」
「聞いてるッ!」
聞いていなかった事を悟られないように、
必死で悠華の話していたことを思い出す。

「えと、加奈子ちゃんが陸の事、
 好きって話だよね?」
「そうそう」
そしてまた、悠華が語り出す。
本当は好きになったキッカケなんて、
どうでもいい。

でも悠華に悪く思われたくなくて、
適当に相づちを打ちながら、
聞いているフリをした。

あたしはあの日から、
人に明るく接する事に努めた。

どんな嫌な事でも笑顔で引き受ける。
笑顔で、その場を盛り上げる。


悠華には、明るくなったね、
そう言われて、
努力が報われてる気がした。


だからもっともっと、
悠華に好かれるようにと頑張った。



それがあたしの、ベール。
あたしの、嘘。