黒と白

「何だ?左之助。」

「こいつ、強えーのか?」

「あ、それ俺も思った。こんなひょろっちぃ癖に、刀使えんのか?」

左之助と呼ばれた男の次くらいに大きい男が言った。

「新八。」

「そうだよ!何で、こんな男を入隊させたんだよ!」

「左之も新八も平助も黙ってろ!!俺と近藤さんで決めたんだ。文句言うな!!」

「歳!三人が納得いかないのも分かる。だから、此処は一つ、この三人の誰かと試合をしてみようではないか。」

そう言う近藤の顔は、どこかウキウキしていた。

(この人、絶対俺の試合を見てーだけだろ。)

「では、そのお相手は、僕がやりましょう。」

近藤の提案に答えたのは、さっきからずっとヘラヘラ笑っている青年だった。

「総司!!何も、お前がやらなくとも…。」

(こいつは、沖田総司…土方がうろたえる位だから、強いのだろうな…。)

「良いですよ、やりましょう。」

「刹那君!?本気か!?お前が総司に勝てるはずないだろう!」

「そんなの、やってみなきゃ分からないじゃないですか。」

「僕も随分なめられたものですね…。良いでしょう。外へ出てください。」

「分かりました。」

そう言って二人は木刀片手に外へ出て行った。

「チッ、しょうがねぇやつだな。」

「でも、これで刹那君の実力が分かるじゃないか。」

「近藤さんは甘いねぇ…。」

「それでは、これより沖田対刹那の試合を始めるっ!両者、準備は良いか?」

「はい。僕は良いです。」

「俺も平気です。」

「それでは…始めっ!」

始めの合図があっても二人は攻撃を仕掛けずに、じりじりと間合いを詰めていった。

「あれ?刹那さん、来ないんですか?では、僕からいきましょう。」

沖田のその言葉と同時に、重い攻撃が刹那を襲う。

だが、刹那はその攻撃を…

ガキィーン!

「へぇ、この攻撃をかわせるんですねぇ。」

「こんな攻撃、普通ですよ。」

その言葉に、沖田は少し、表情を変えた。

「では、少し本気を出しましょうか。」