黒と白


暗く闇しかない中で、

刹那は袴を着て、

腰に刀を差した状態で立っていた。

(此処は、どこだ?何も、見えない・・・)

立っている時点で地面はあるのだろうが、

この暗闇の中でそれを確かめる術は無い。

刹那が警戒しながら立っていると、

何かが聞こえてきた。

「ワスレルナ・・・オマエハ

――――イルカギリ、

――――ハニゲラレナイ・・・」

所々が聞こえにくくなっていたが、

刹那はその内容を知っていた。

すると、

「―うわっ!!」

今まで刹那が

立っていた所から何かが伸び、

刹那の足に纏わり付き始めた。

「やめろぉっ!!」

刀を抜き、その物体を斬ると、

斬った先から触手らしき物が伸び、

刹那の体は完全に拘束されてしまった。

触手は袴の隙間から進入し、

刹那の体全体に触手が纏わり付いた。

「はっ・・・ぐぁぁぁ!!」

触手がいきなり、刹那の体を強く拘束し始めた。

(苦しい・・・あの時と、全く同じ・・・!)

―――刹那。

(だれかが、私の名を呼んでいる・・・)

―――刹那。

(あぁ、この声は・・・)

「刹那!!」

「うわっ!」