黒と白


「物騒な人たちですね・・・。此処の人達は、入隊希望者にまず、刀を向けるのですか?」

刀を向けられているのに、刹那の表情はいたって普通だ。

「ただの入隊希望者なら、そんなことしねぇ。」

「じゃあ、何で俺には?」

「お前には、隙がねぇんだよ。

今だって、

俺が何をしようとしていたか、

分かってたんだろ?。」

「さぁ?俺は別に、

自分の力を過信しているつもりなど、

全く無いんで、分かりませんけど。」

「土方副長!刀を納めください。」

「んだよ斎藤。

こいつの味方に着くつもりなのか?」

「そんなつもりは有りません。

ですがこいつは、

さっき俺がわざと背後をがら空きにしても、

殺気が微塵も感じられませんでした。

ですから、こいつは白だと思います。」

「斎藤・・・。分かった、お前を信じよう。」

「では、俺は入隊できるのですか?」

「いや、まだ後入隊試験が残っている。」

刹那の言葉に口を挟んだのは、

ずっと黙っていた近藤だった。

だが、

「その必要は無いだろう。」

近藤の言葉に反対したのは、土方だった。

「さっき言った様に、こいつには隙が無い。

剣術もなかなかの物だと思う。」

「そうか・・・よし、刹那君。」

「はい。」

「君の入隊を許可する。」

「ありがとうございます。」

「だが、お前の疑いがはれた訳じゃねぇ。

だからお前は、斎藤と相部屋だ。」

土方が念を押した。

「分かりました。」

「斎藤も、良いだろ?」

「副長命令とあらば。」

「じゃあ斎藤、部屋へ案内しとけ。」

「御意。」

斎藤は、音も無く立ち上がると、

部屋を出て行った。