黒と白


「あ…あのっ!!」

今まで何も言わずにその光景を

見ていた娘が、刹那へと声をかけた。

「…なんだ。」

声を掛けられた刹那は、

娘の方へと振り返った。

その瞳は、さっきの浪士に向けた

冷ややかな目のままだった。

その目に、娘は肩をビクッと揺らすと、

恐る恐る口を開いた。

「浪士達から助けていただき・・・

ありがとうございました!」

そう言ってペコッと頭を下げた娘を見た刹那は、

少し眉を寄せると、娘の肩へ触れた。

すると、娘はさっきよりも大きく肩を揺らした。

「顔を上げろ。

…無理するな、お前も俺の事が怖いのだろう?

肩が震えている。」

「う…す…すみません…。」

そう言って顔を上げた娘の目には、涙が滲んでいた。