~金木犀が香る頃~



まぁ、いっか。関係ないし


それよりあの囁きは宣戦布告よね?


“俺を惚れさせるんでしょ?”



なめんじゃないわよ。あたしのスキルで絶対に落としてやるんだからっ!



覚悟しときなさいよ!!



優兄の後ろに乗りながら、打倒桐谷!と心の中で唱えていた美咲であった。



「お前明日から気を付けろよ?今日は転校初日だったからも、明日からはもっと絡まれたりするかもしれねぇーから。」



『うん、分かってる。絡まれたら即優兄に助けてもらうし。』



アハハなんて笑いながら言ったけど、もしなんかあったとしても、優兄にはきっと言わない。


「……おぅ。」



下を向いておぅと言った優兄。
下にうつむくのは優兄が照れたときのくせ。




優兄は絶対に助けに来てくれる。

今までもそうだったから。


自分を捨ててでも私を救ってくれるような人だから。




私はそこが 怖い。

だから言えない。




『優兄……、大好き』



あまりにも小さい私の声は風にかき消されていった――――――