桐谷が近づいてくる。


「一口、ちょうだいよ」



『絶対イヤッ。』



大好きなカスタードプリンを食われてたまるかと思っていると、桐谷が耳元で囁いた。



「…俺を惚れさせるんでしょ?」


『――――――――っ!!』



あまりに低い艶やかな声に耳元がゾクッとした。



「顔赤いけど…大丈夫?」



ニヤニヤした顔で聞いてくるの余計にムカつく。



『…っ…うるさい。』



「本当に赤いけど大丈夫か?」



優兄が心配そうに顔を覗いて来たので、『大丈夫』と言ってクレープをまた食べ始めた。