その部屋は、見たこともない程に、神秘的だった…
大きな窓によって差し込むオレンジの暖かな光…
その光が、部屋一面を照らす…
微かに揺れる清潔なカーテン…
全てを白1つで整えられた場所。
奥の一際大きな窓辺に、1人の女性の姿があった…
こちらに背を向け、窓の外を眺めている…
金色の長い髪…
その髪に飾られた髪飾り…
《長、お見えになりました。》
《下がってよろしい。》
《はい。》
その女性を長と呼ぶDRAGONの遣い。
そう呼ばれた女性は、振り返る事もなく、そう言った。
短い会話の後、DRAGONの遣いは、3人に頭を下げると、部屋を後にした…
「久しぶりね、マリン。」
「お久しぶりある。」
DRAGONの遣いが部屋から姿を消すと、長と呼ばれた女性が、振り返り、マリンに挨拶をする。
その言葉に、マリンは笑顔で返すのだった。
金色の髪…
高貴そうな髪飾り…
その綺麗な全てに似合わない鋭い瞳…
夢に出てきた女性と同じ人物…
やっぱりあれは、夢じゃ…
窓を背に立つその女性…長は、オレンジ色の光を受け、いつもに増して、綺麗さを醸し出していた…
「ぬぉっ!」
隣に立つライナスが突然、変な声を上げた。
顔を伺うと、鼻の下を伸ばし、頬をほんのりと赤く染めていた。
綺麗だ。そう感じたのだろう。
確かに、彼女は綺麗だ。
全てが完璧で、全てを兼ね備えている。地位も何もかも、全て…
しかし、彼女の鋭い瞳には、苦しみを含む、悲しい色が含まれている、そう感じた…
鼻の下を伸ばすライナスを見ても、微笑む事はなく、鋭い瞳を3人に向ける長。
会ってからというもの、顔色が変わった事がない…
ずっと、鋭く睨む、この表情だ。

