その頃…
ある部屋の一室…
個室ではあるが、狭くはなく、白い色が印象的の、検査室と思われる場所。
そこには、白い患者服のような服に身を包み、ベッドに腰をかけるルリの姿があった…
ルリは、顔を伏せ、虚ろな瞳を真っ白な床へと向けている…
そんなルリの周りを取り囲む、様々な機器…
その機器のそばに腰を下ろし、何かを準備している2人男性がいた。
短髪で、肌の色が白く、鼻の高い男性。
歳はまだ若く、20代のこの男性。
ルリを連れてきた男性だ。
もう1人は、眼鏡をかけ、機器の画面をマジマジと見る、優等生的な男性。
彼は、集中しているのか、画面から目を反らす事はなく、ひたすら自分のやるべき事を行っている。
「レオン…」
「?どうした、ルリ?」
レオンと呼ばれた男。
彼は、20代という若さで、この研究所を指揮する、いわゆるリーダーである。
研究所の皆の事を一番に考え、何もかも完璧にやりこなす優秀な人物だ。
そんなレオンに、顔を上げる事なく質問するルリ。
だが、表情はわからなくでも、彼女は苦しんでいる事がわかる。
唇を強く噛み締め、シーツを力強く握りしめているのだから…
「…私の中にある、DRAGONの命を、シュウに返しておけば、人々は、襲われなかったの…?」
ライナスとマリンから聞いた事……
DRAGONの命を返していれば、DRAGONは暴れ出さなかった…
人々は、死ぬ事はなかった…
シュウが、苦しむ事は、なかった…
全ては自分のせい……
自分さえしっかりしていれば…
でも、違うと言って欲しかったのかもしれない…
心のどこかで、違うと、自分のせいではないと、そう思っていたのかもしれない…
しかし、現実は、そんなに甘くなかった…
全ての人間が、幸せになるという訳ではないのだ…
幸せな者の裏には、必ず不幸な者が存在する…
それは、避けきれない事…

