ガラスの壁に手をつけ、食い入るように中の光景を見詰めるシュウ。
ふと、頭の中に疑問が湧いた。
「なぁ……DRAGONは、何でここに…?」
その言葉は、DRAGONから目を放す事はなく、発せられた。
その問いに答えたのは、カナメ。
シュウの隣で、腕を組み、DRAGONを見の様子を伺いながら、説明する。
「DRAGONはね、自らここに来てるの…」
「自ら…?」
そこで、初めてDRAGONから目を放したシュウ。
DRAGONが自ら……
ここへ……
カナメに訊きたい事を目で訴えかける。
その訴えに、しっかりと答えてくれるカナメ。
彼女は、とても頼りになる。
「そう。決して私達が無理やり連れて来た訳じゃない。自からここに……」
「どうして……」
「はっきりした事はわからない……主から契約を切られたか……」
「契約?」
確か、DRAGONを体に宿している者がいると聞いた。
その時、契約をするのか…?
契約……
命を代償に……
自らの命を代償に、DRAGONを宿す……?
「DRAGONと契約するある。自らを主とし、DRAGONを遣う事を…」
シュウの問いに答えたのは、マリン。
マリンはDRAGONに背を向けた状態で、ガラスの壁に寄りかかり、天井を見つながら、話してくれた。
自らを主とし……
DRAGONを遣う…
代償は、発生しない…
「ルイは違うんだったよな…」
「あぁ……」
そう、俺はDRAGONと契約をした訳ではない。
産まれた時から、体に封印されていたのだ。
物心ついた時には、家族も何もいなかった…
仲間なんて、そんなもの…
全てはこの、DRAGONのせい…
この世にDRAGONなどが存在していなかったら……
しかし、これも俺の試練なのかもしれない…
そい思い出したのは、つい最近だ。
だから今、俺は生きている。
漆黒のDRAGONと共に…

