どこまで歩いた事だろう…
先程とは、全然雰囲気の違う場所を歩いている。
窓もなく、部屋もない…
光を遮るように厚い壁が通路を覆っている…
緊迫した雰囲気…
空気が張り詰め、話す事はむしろ、息をする事さえも許されない感じである…
しかし、そんな雰囲気を経ったのは、先頭を歩く女性であった。
女性が思い出したように、声をかけてきたのだ。
「そうだ、あたしの名前言ってなかったわね。あたしは、カナメ。宜しくね。」
「カナメ…」
その名前を聞いても、何も思い出せなかった。
あの笑顔を知ってると思ったのは、気のせいだったのだろうか…
そう納得しようとしていたその時、
「俺の姉貴だぜ。」
ライナスが真顔でそう言ったのだ。
真顔と言う事は、冗談ではないのだろう。
「姉さん!?」
驚いた声を上げるシュウ。
交互に2人の顔を見比べる。
そうか…
どこかて見た覚えがあると思った…
あの笑顔、ライナスとそっくりだ。
それなら辻褄が合う。
何だか悩みが解消されて、スッキリした。
「何だよそんなに驚いて。」
驚いたのが気に食わなかったのか、ライナスは眉をつり上げる。
それに対し女性……カナメは、鼻で笑って言った。
「そりゃ驚くわよ。あんたとあたしじゃ、似ても似つかない。」
「そうあるよ。」
賛成するのはマリン。どう見たって似ていないという顔をする。
「何だと!」
2人から一斉に反対され、プライドを崩されたのか、ライナスは2人に立ち向かうが…

