どこへ行くのだろうか…
3人は、木々から離れ、この広い土地へと歩き出した。
今は、この土地の中心部らへんにまでさしかかっている。
先程から景色は変わらない。
見えるのは、この何もない土地を囲む、新緑の木々…
そして青く雲一つ無い、青空のみ…
しかし、その景色は突然変わった…
風が吹き、砂が舞ったかと思うと……
「!」
目を見開くシュウ。
確かに遠くから見ても、この土地を歩いても、何も無かったはず…
なのに今、目に映っているのは、灰色で、冷たさを感じる、壁であった。
太陽の光も感じない…
今まで見えていた木々も、青空も、風も、何も見えない…何も感じない…
どうなってるんだ…
いつの間に建物の中に…
…テレポート…?
一瞬、そんな言葉が頭に浮かんだ…
さっき魔法まで見たんだ。
テレポートなんかもできても可笑しくないだろう。
そんな事を考えながら、歩を進めていると…
「!ぉっと…」
目の前に何者かが立ちはだかっていたのだ。
危うくぶつかる所だったが、すんでの所で止まる事ができて良かったものの…
誰だ…?
ゆっくりと顔を上げる…
意外に背が高い…
首が痛くなる程見上げる高さだ。
いや、ヒールを履いているからか?
シュウの目の前に立ちはだかったのは、女性だった。
赤みがかったセミロングの髪。まつげの長い瞳。
微笑むその顔は、どこかで見覚えがあるようや気がする。
「ごめんごめん。驚かせた?」
女性はシュウの顔を見ると、笑いかけ、そう言った。
どこかで見たんだよな…
この笑顔…どこでだっけ…
「シュウ?」
「…」
…うーん……
…思い出せない…
「シュウ!」
「!え!?」
突然怒鳴られてびっくりした。
女性はシュウの顔を覗き込む。
ボーッとしていたせいで、一度呼ばれた事に気づかなかったらしい。

