勢い良く閉ざした目を開くと、その紺色の瞳に映ったのは汚れ1つない真っ白な天井。
壁にある時計は規則正しく秒針を進め、小さな窓からは心地良い風が舞い込んで来る。
「……夢……か………」
安心したように小さく呟くと暫く天井を見つめる。
それにしてもリアルに描かれていた…
今でもこの手が血に染まり、仲間の無惨な姿が目の前に広がる、そんな錯覚までも引き起こす…
ベッドの中で眠っていたシュウは、夢とは思えない記憶を思い返しながらゆっくり上体を起こすと、全てを振り払うように乱暴に頭を掻いた。
《お目覚めのようで……》
疲れたように深く息を吐くと、近くで女性の声がした。
突然の声に振り向くと、そこには肩までの髪を耳にかけた鋭い瞳を持つ少女の姿が。
少女、DRAGONの遣いは無表情で清潔な包帯を巻き直している。
その包帯を見たシュウは、何か思い出したのか自分の胸へと手を伸ばす。
頭をよぎったのは自らの心臓を貫く鋭い物体と不気味に笑うマーガレッドの姿…
傷1つ見えない自分の胸を見つめるシュウは、不思議そうに首を傾げあれも夢だったのだろうかと考える。
《漆黒のDRAGONが貴方を助けたのです。》
「…DRAGON…が……?」
首を捻るシュウの疑問に答えるように言うDragonの遣い。
再び彼女へと目を向けると、表情を変える事なく彼女は頷いた。
《DRAGONは主である貴方を必要としている。貴方が助かったのはその証です。》
淡々と述べるDragonの遣い。
無表情の彼女の言葉に傍に立てかけてある漆黒の剣へと目を向け、無意識に左腕にあるDRAGONの痣へと手を伸ばす。

