震えるシュウの頭を撫でると、顎を掴み顔を近づけるヴェイン…
ギリギリの所まで近づけると、鋭い瞳を更に尖らせる…
「だったら闇に落ちろ。そうすれば、そんな思いはしなくてすむ。苦しみも、悲しみも、恐怖も、憎しみも………」
何をされようと微動だにしないシュウは、その恐ろしい瞳を見つめるのみ…
そんなシュウの様子に微かに笑ってみせるが、すぐに目を細め紺色の瞳を見下ろした…
「お前が闇に生きるのならば、仲間に危害を加えない。仲間を救ってやろう。」
身動き1つ見せなかったシュウは、ヴェインの口から仲間という言葉が出た瞬間、その言葉に反応するように身を震わせた…
身を震わせ、ヴェインから目を反らしたシュウは俯く…
再び動きを止めたシュウを、不思議そうに腕を組み様子を伺っていると…
「…………落ちるかよ…………」
突然ぼそりと呟き、地に転がった漆黒の剣を握り締めゆっくり立ち上がった…
彼の行動にヴェインは微かに眉を潜める…
「…………落ちてたまるか……………」
顔を上げたシュウの目つきは変わり、何かを決意したように光る紺色の瞳でヴェインを睨みつけた…
その瞳に睨まれ嫌そうに目を細めるヴェインは、シュウの瞳から逃げるように数歩後退る…
「………俺は………闇へは落ちない………闇には染まらない…………絶対に……絶対に!」
ヴェインを睨んだまま剣を構えると、力強く地を蹴り刃を振り上げる…
そして目にも留まらぬ速さで刃を振り下ろした…
風を切るような音と、シュウの足音のみがこの地に響く…
振り下ろした時に感じた、存在していない幻覚を斬ったような感覚…
そんな違和感を感じ剣を振り下ろした状態で動きを止めると、突然目の前が真っ暗に染まり、シュウは意識を手放した…

