BLACKNESS DRAGON ~希望という名の光~


視界を閉ざし、音を遮る…

自分の荒い息と、速まる心臓の音がやけに耳に響く…




自分の世界に入り現実から逃げようとしていると、ザワザワと木々が騒ぎ出した…




風を受け数枚の緑の葉が枝から離れると、ヒラヒラと舞いながらこの地に降り立った…



ゆっくりと舞い降りた緑の葉は、地に触れると共に色を失い枯れ葉となる…


潤いを失ったその葉にはひびが入り、粉々に粉砕し風にかき消された…







突然背筋に寒気を覚え、恐る恐る瞼を押し上げるシュウ…



先程まで緑豊かだった地は、荒れ果てた地へと変化を遂げていた…




辺りの木々は枯れ果て、緑の飾りを失った剥き出しの枝には、真っ赤な血に染まったような恐ろしい鳥達が羽を休めている…





変わってしまった地を見回すシュウの胸の中にルリの姿はなく、漆黒の剣は荒れた地に転がっていた…





今までの出来事は、夢…?

ただの幻覚だったのだろうか…




そう思い頭から手を放すが、その手は赤く染まり、漆黒の剣の刃も、彼の身体にも、べったりと赤い液体が付着していた…




両手を見つめるシュウの身体は震え、紺色の瞳は揺れていた…




そんな彼の傍に現れた、背が高く痩せており、鋭く尖った瞳をした男…


何が可笑しいのか、ほくそ笑みながらシュウへと歩み寄る…





血を見つめたまま身を震わせるシュウは近寄る男に気づく事はなく、目の前に立ち止まった男はシュウを見下ろしていた…







 「恐いか?」


その一言を聞いただけで、身震いをしてしまいそうな程の低い声…


男、ヴェインの声に、真っ赤に染まる掌から目を放し顔を上げたシュウ…


悲しみを含んだ揺れる瞳に、ヴェインは嫌味に口の端をつり上げた…





 「仲間を失う事が恐いか?辛いか?悲しいか?」


 「……」


ヴェインを見上げるシュウは怯えるよう
に震え、見開かれた紺色の瞳には涙が溜まっていた…