頬や腕に返り血を浴びたながら、それを気にする事なく黒く染まった人物を睨みつけるシュウ…
漆黒の剣が心臓を貫いたままの状態で、再び周りの景色が歪んだ…
剣の柄を握ったまま座り込んでいるシュウは、辺りを見渡し、そこがどこなのか把握する…
所々に立ち並ぶ背の高い木々に、葉の隙間から差し込む木漏れ日…
清らかな風が流れゆくこの地は、研究所の周りを取り囲む林の中のようだ…
「……ぅっ………」
辺りを見回していたシュウは、近くで聞こえた苦しそうな声に視線を前へと戻す…
そして、何を見たのか紺色の瞳を見開いた…
「………ル……リ…………?」
見開かれたその瞳に映ったのは、血を吐きながらシュウを見つめ、苦しそうに息をするルリの姿…
漆黒の剣を胸に刺し、そこから流れた血が真っ赤に辺りを染めていた…
彼女の流した血液が漆黒の刃を伝い、柄に流れるとシュウの手を染めて行く…
悲しそうな瞳でシュウを見つめるルリ…
不意に、その瞳から涙が流れ、一粒の雫が頬を伝って行った…
綺麗に流れた雫を目にし、胸を締め付けられるような痛みに目を細めると、ルリはゆっくりとシュウの肩ににもたれかかる…
胸からは大量の血液が止めどなく流れ続け、堅く閉ざされた瞳はもう二度と開く事はない…
触れた掌は熱を失い、氷のように冷たくなっていた…
血を見つめる紺色の瞳は揺れ、身体は何かにおびえるように震える…
ルリを刺したのは紛れもなくこの俺で、彼女の尊い命を奪ったのも……
赤く染まった剣の柄を握っていたシュウは、血に染まった手で混乱する頭を抱え、その場から逃げるように力強く目を閉じた…

