どこまでも続く青い空…

眩い光を放つ丸い太陽…


静かに流れる時の中、涼やかな風が草原の身を揺らす…





人気のないその地に、岩に背を預け、額を押さえる女が1人…




 「クッ…」


どこか顔色の悪い彼女は、灰色のはねた髪をグシャリと掻く…




何年も闇と距離をおいているのに、体は強まる闇に身を預けようとする…




 「何て無力なんだ…」



そう言葉を漏らすと、グッと握った拳を力強く岩に叩きつける…

悔しそうに唇を噛み、瞼を閉じた…




 「フウ、お前大丈夫か?」


視界を閉ざし、辺りの音に耳を澄ませていると、突然聴こえた聞き覚えのある声…


その声に顔を上げると、彼女は乱れた髪を整え素っ気ない態度を取る…




 「何でもないよ…」


そう言い、目の前に現れた男性、フレイの側から立ち去ろうとするが…


彼女の体はゆらりと揺れ、地に倒れ行く…


そんな彼女を支え、フレイはそっと彼女を座らせた。






 「そんなに闇が強まってるのか…」



空を見上げて呟くと、自分も彼女の隣に腰を下ろす。




 「地から離れた神聖なこの場にも、闇は足を踏み入れた……

どこにいたって、逃げられないんだ……」



目の前に広げた自らの掌を見つめ、悲しそうな顔をする…


だが、彼女はすぐにその悲しそうな表情を消すと、フレイに話しかけた。




 「…それで、2人の状況は?」



話を反らされたような気がしたが、フレイは彼女の問いに答える。



 「ライナスは無事だった。だが、マリンは救出できなかった…」


 「そう…」


 「フウ、お前ならすぐに見つける事ができる。頼んでもいいか?」



突然身を乗り出して言うフレイに、迷惑そうに眉を寄せながら身を引いた…