身体に巻き付く太い蔓…
やけになりながらもがいていると…
「その雲利用させてもらうぜ!」
突然聴こえた背後からの声…
ハッとして振り向くと、そこには蔓の端を手にし、マーガレッドに背を向けて立つライナスの姿が…
微かに顔を横に向け、ニッと八重歯を覗かせ笑うと、人差し指を突き出し、右手を天へと伸ばす…
「『鳴り響け、怒りの雷鳴!』」
厚い灰色の雲が光ると共に、耳に障る鋭い音が鳴り響く…
一瞬見えた稲妻は、確実にマーガレッド頭上に落ちていった…
水に濡れた彼女の体は、身体の芯まで電気が走り、感電しているはず…
そう確信していて、ライナスは雷を受けたマーガレッドを見る事なく、背を向けていた…
が…
「……何?もうおしまい?」
背を向けていたライナスは目を見開き、声のした方へ振り返る…
だが、その時には、もう既に遅かった…
ライナスの足下から短剣が出現し、物凄いスピードで彼の心臓へと斬りかかる…
逃げる事のできなかった彼の体に、短剣が深々と突き刺さった…
「お遊びはもう、終わりだよ。」
「っ……!」
大量の血が、体から流れ行く…
荒い息を吐きながら、数歩歩くが、その体では立っていられない…
苦痛に顔を歪め、フラついた彼の体は地に倒れ行く…
地に倒れるその瞬間、彼の瞳に映った、ある人物の姿…
嫌味に笑う、マーガレッドのその表情が、目に焼き付いた…

