ニャッと口の端をつり上げて笑うと、挙げていた右手を振る…
すると、それを合図に待機していた武器達が動きを見せた…
高々と持ち上げられた斧がライナスの頭上から振り下ろされる…
それを後ろに後退し、難なく交わす…
重い斧は、深々と地に突き刺さり、茶色い土が舞った…
続いて、後ろに跳んだ彼の動きを止めるべく、鎖ガマが音を立てて彼の体に巻き付く…
そして、力強く締め上げる…
が…
そこには既に彼の姿はない…
彼は瞬時に魔法を使い、鎖ガマの中から逃げていたのだ。
だが、そんな彼に背後から迫る鋭い鎌…
刃を輝かせながら、ライナスの首に襲いくる…
彼の首を捕らえるべく、物凄いスピードで斬りかかった…
ブンッと、風を斬るような音…
その音と共に、遠くに飛んで行く鋭い鎌…
空を斬ったその鎌は、あまりの勢いに、動きを止める事はできなかった…
「…あっぶねっ…………」
ギリギリの所で身を反らし、鎌の攻撃から逃げたライナスは、バランスを崩して尻餅をつく…
すると、それを待っていたといわんばかりに、日本刀が彼を襲う…
刃先を地に垂直に向け、寝転がった彼を突き刺そうとする…
心臓目掛けて突き刺す日本刀…
それを転がって避けたが、その後を追うように何度も日本刀は彼を襲う…
「くっ………」
コロコロと転がって攻撃を交わすが、辺りから集まり来る他の武器が彼の瞳に映った…
顔を歪めながら、何とか思考を巡らすが、時間がなさすぎる…
舌打ちをしながら、彼は転がるのを止め、仰向けの状態になる…
上空からは、動きを止めたライナスを突き刺そうと迫り来る日本刀…
それを見つめ、両手を前に突き出す…
受け止める気なのか…
「『吹き荒れよ、全てを凍らす零下の風!』」
目を瞑り、呪文を唱えるライナスの周りを、冷たい風が一吹き…
身を震わせるその風は、彼の髪を揺らし、当たりに吹き荒れた…

