BLACKNESS DRAGON ~希望という名の光~


 「言い過ぎだ。フレイ。」


そんなシュウを見た女性、フウは、眉を潜めながらフレイに言う。


だがフレイは真剣な表情のまま、シュウに背を向けた。



 「真実を言ったまで。

お前の指名は、DRAGONの目を覚まさせる事。その事だけを考えろ。」


そう言うと、フレイはフウを見て頼むと一言。


わかったと頷くと、フウはパチンと指を鳴らす。


すると、フレイの周りに風が吹き荒れ、円を描くように包み込むと、彼の姿はそこから消えた…





風が収まり、静けさが舞い戻ったこの地で、シュウはただただ真下を見つめる…



彼の伏せた瞳から、一粒の涙が零れ行く…


救えない…

仲間を…

皆を…


何もできない…

足手まとい…



様々な言葉が頭の中を巡って行く…




 『無力なんだよ、今のお前は。』


無力…


こんなにも救いたいと思っても…

こんなにも仲間の無事を願っても…


俺は、何もできない…

何もできやしない…


何て無力なんだ…

何て、無力なんだ…



握り締めた拳を、力強く地に叩きつける…


顔を伏せたまま、震える声で呟いた…



 「…でうして……どうしてなんだよ……

…仲間を救えない……?何もできない……?

クソっ………クソっ………クソーーー!!」



彼の叫び声が、辺り一面に響き渡る…


ポロポロと涙を流し、握り締めた拳を、何度も地に叩きつけた…




そんな彼を目にしたフウは顔を伏せ、彼の前から姿を消す。




相変わらず空は真っ青で、雲はのんびり進み行く。


草花は揺れ、風に乗って花弁が舞う…



初めて無力さを知ったシュウを、眩い太陽は暖かく、見守るように優しく、彼を照らし続けていた…