BLACKNESS DRAGON ~希望という名の光~


一面に広がる、綺麗なスカイブルー。

その中を泳ぐ、柔らかそうな白い雲。

真上に見える、眩いオレンジ色の太陽。



その穏やかな空の下、芽吹いたばかりの草花の中に、2人の人物の姿があった。



燃えるような赤い髪に、2つの異なる剣を手にした、右頬と左手の甲の入れ墨と、右腕の大きな傷が目立つ男性。

彼の一歩後ろには、真っ赤なDRAGONが、鋭くある人物を睨み付ける。



DRAGONに睨まれ、男性と向かい合う少年は、漆黒の剣を手に、疲れたように前かがみになり、荒い息を吐く。

疲れの色が見える彼の紺色の瞳は、しっかりと目の前の男性を捉えていた。




頬にある赤い傷から、血が滲む…

それを雑に拭うと、真っ直ぐに剣を構えた。



そんな彼を見た男性、フレイは、左手に持つ一回り小さな剣をクルリと回すと、口を開く。




 「その苦しみは、DRAGONの苦しみ。お前の中でDRAGONは眠っている。その眠りを覚まさせるのが、シュウ、お前の指名。」

右手に持つ剣を少年、シュウに向け、爽やかに笑うフレイ。


だが、今のシュウには、その言葉は頭に入ってこなかった…



地を蹴り、一気に距離を縮めると、爽やかに笑うフレイに斬りかかる…



振り上げた剣を、力強く斜めに振り落とす…



だが、その剣は、フレイを捕らえる事なく、空を斬る…


舌打ちをしながら、背後から感じた気配に素早く振り返ると、無理な体勢で下から斬り上げる…


今度こそ仕留めた…

そう確信していた…


なのにシュウの剣は、またしても空を斬る…



再び空を斬った剣に、驚きを隠す事ができず目を見開く…

無理な体勢からの攻撃の為、バランスを崩し地に倒れる…




強く体を打ち、顔を歪めていると、シュウの首筋に冷たい何かが突きつけられた…



大きく見開いた瞳には、咲き誇った凛々しい花が映る…


その花を目の端に移しながら、首筋の冷たい物へと目を向けた…




そこには、シュウを見下ろしながら、赤い剣を突きつけるフレイの姿が…