ポツポツと零れ落ちた雫は、まるでジンが涙を流したように頬を伝って行く…
涙を流し続けるレオン…
そんな彼の脳裏に、ある言葉がよぎる…
『……救ってくれ……俺達の、仲間の…命を………』
ジンが、目の前で眠るように動かなくなった彼が、最後に残した言葉…
彼が、レオンに託した、最後の言葉が…
レオンは涙を拭うと、ジンを仰向けに寝かせ、手を胸の前に組ませた…
そして、右の拳を自分の胸に当て、目を瞑ると頭を下げる…
命をかけて戦った友に、敬意を示して…
数秒の間、静かに、祈りを捧げるように目を瞑っていたレオンは、ゆっくりと立ち上がると、耳に指を添える…
「…ミズハ……連絡は、とれたか…?」
―「はいぃ。ウルさんと連絡がとれましたぁ。地下において、数名の軽傷者と共に救護活動を実行中との事ですぅ。」―
「…そうか……」
イヤホンから流れる陽気な声…
それとは打って変わって、レオンの声は掠れている…
―「…どうか、なさいましたかぁ…?」―
いつもと様子の違うレオンに、心配そうに訊くミズハ。
だが、レオンは問題ないと一言で返した。
「ウルは、大丈夫なのか?」
―「命に別状はないとの事でぇ。」―
「あいつの無事は信用できないが、助かる。」
―「それで、そちらの様子はぁ…?」―
「心配するな。怪我人は多いが、必ず助ける。」
遠慮がちに訊くミズハを安心させるように優しく言うレオン。
だが彼の瞳は、未だ涙を溜めている…
彼の優しい声にホッとした様子のミズハは、今頃椅子の上で微笑んでいる事だろう。
「引き続き、通信を頼むよ、ミズハ。」
レオンはそう言うと、通信を切る。
そして、溜まった雫を零すまいと、窓から覗く太陽を見上げるのだった…
彼はその太陽に誓う…
もう、誰も傷つけないと…
二度と仲間を失わないと…
友の…
ジンの願いを、必ず叶えると…

