BLACKNESS DRAGON ~希望という名の光~


様子のおかしいジン…


 「ちょっと、すまない……」


そんな彼を見て、レオンは彼の頬に触れ顔を上げると、瞳を覗き込む…



触れた彼の頬は体温を失ったように冷たく、見つめた瞳は視点は定まる事なく、微かに揺れている…


頬から手を離すと、次は何かを確かめるかのように、彼の胸の辺りに触れる…



すると…




 「…クッ……」



左胸あたりに触れた瞬間、彼は苦痛に顔を歪め、レオンの手から逃れようと身を捻る…


苦しそうな表情の彼を見たレオンは、難しそうに顔をしかめると、ゆっくりと立ち上がる…



そして…




 「立てるか?」


 「…あ、あぁ………」


レオンはジンの手を取り、手助けしながら立ち上がらせると、自分の肩に彼の腕を回し、彼の背中に手を添え、支えながら歩きだした…



今にも倒れそうな、おぼつかない足取り…

大きく息を吸うが、上手く呼吸ができない様子…




そんな彼を何とか支えるも、なかなか前へ進む事はできない…



グッと唇を噛みしめ、必死に前へと進もうとした時だった…




 「…レ…オン………」


 「ジン…?」


掠れた声で、ジンはレオンを呼ぶと、青白い顔を上げる…

名を呼ばれたレオンは、足を止め、上げた彼の顔を見つめた…




 「俺は、いい………他の、奴を………助かる、見込みの…ある奴を……助けろ……」


 「…何言って……」


 「…俺は…死ぬ……」



顔色1つ変える事なく、どこか遠くを見つめそう言ったジン…


そんな彼の言葉に、レオンは目を見開き、開きかけていた口を閉じた…




 「わかんだよ……自分の事だから………自分の体だから……わかんだ………

…もう、命は少ないって事も………時が…近づいてるって、事も……全て………」

 「馬鹿言うな……こんな時に、冗談を言うな……」



ジンから顔を逸らし、再び歩みだしたレオン…


そんな彼の瞳は、微かに潤んでいた…



レオンの顔を見上げたジンは、自ら歩こうとはせず、レオンに引きずられるように前に進む…