右手を挙げ、指揮を振るかのように人差し指を動かすマーガレッド…
すると、彼女が散らした藍色の髪の毛が、形を変える…
宙へと浮いたその髪の毛は、鋭い針を持ったダーツの矢となり、ライナスに向かって飛んで行く…
あり得ない速さで迫ってくるその矢を交わすと、また別の矢が飛んでくる…
それを魔力で弾くが、背後からの爆発音にチラリと後ろを覗き見る…
交わしたダーツの矢が、壁にぶつかると爆発していたのだ…
頑丈に造られている為、そこまで酷い被害はないが、このままではいつ壊れてもおかしくない…
ここでは戦えない…
そう考えたライナスは、魔力で風を巻き起こす…
その風は、爆発した時に立ち上った煙を辺りに充満させて行った…
立ち上った煙は、数秒もしない内にその空間の隅々まで満ちて行く…
その煙は2人の姿を包み、視界を遮る…
「ケホッケホッ……」
煙にむせ、咳をしながら鋭く辺りを見回すマーガレッド…
辺りを警戒しながら、ゆっくりと背後を確認する…
そんな時…
「『世を旅する清き風……我と共に旅をしよう………
涼やかな風を受け……我汝と共に笑う………
汝の知らぬ地に足をつき……我と共に捜し求めよう……
新たな喜びを……新たな幸せを……』」
そんな彼女の耳に響く、呪文のような、詩のような言葉…
そして足元に現れた魔法陣…
その複雑な魔法陣は青く輝き、彼女の体を包み込む…
「空間魔法……何するつもりだよ…?」
顔を上げ、目の前を睨む彼女…
彼女の睨む先には、1つの人影が…
その影は煙の中から姿を現し、ニッと笑って言う…
「決まってるだろ。長暗殺阻止さ!」
彼の口元から覗く綺麗な八重歯が見えたかと重うと、彼は真剣な顔をする…
そしてその言葉と共に、2人の周りに青く眩い光が立ち上る…
その光と共に、どこからか舞い込んできた爽やか風…
その風が2人の周りを一回り巡った途端、彼らの姿はそこから消えた…

