治療室の前を通り過ぎ、一度も曲がる事なく、小さな光とマリンは廊下を走って行く。
ただ前を見据え走り続ける為、曲がった先にある、血に染まった光景を目にする事もなく…
震える少女の姿を目に留める事もなく…
光を追っていたが、あまりの速さの為、見失ってしまったマリン。
だが、行き先はわかっている。
DRAGONの長…
闇の者の狙いは、彼女なのだから…
1人で走り続け、研究所の前を通りながら、彼女は眉を潜めた…
ライナスは、怪我人がいると言った…
なのに、今まで全然そのような現場に出会していない…
それに、あまりにも静かすぎる…
スピードを落とし、辺りを警戒するように見回す…
どんな小さな事も見逃すまいと、鋭く睨みつけながら光が向かったのとは別の道を進む…
すると…
角を曲がった瞬間、彼女は大きく目を見開き、進めていた足を止めた…
見開かれた彼女の黒い瞳に映ったのは…
端に倒れる数え切れない人々と…
割れた窓ガラス…
その破片が不気味に宙を舞い…
辺りに血液を散らしていた…
それは今まで見た事もない、真っ赤に染まった空間だった…
災害後のような状況の中、倒れる人々のケガの状態を確認する…
時に見ていられず、目を反らしながら…
グッと拳を握り、悔しそうに顔を歪める…
人々の中を歩んで行くと、生存者と出会した。
「ルーヴェル…?」
「マリ…ン…」
恐る恐る名を呼ぶと、彼は虚ろな瞳をしながら、無理に笑う…
そんな彼に不覚にも安心しながらも、彼に歩み寄る…
「ルーヴェル…無事、あるか?」
「まぁ…な…」
その男性に話を聞こうと近づくが…
「マリン!」
男性は突然、彼女の後ろを見つめると、掠れた声で叫ぶ…
その叫びに目を細め、素早く振り返ると…
大きく目を見開く…
彼女に向かって、物凄い速さでガラスの破片が飛んできていたのだ…
鋭い刃を、まるで鷹の目のように光らせながら、獲物を捕らえようとしていた…

