「見ぃつっけたっ!」
崖の上に佇む巨大な塔から随分と離れた、荒れたその地に、探し物を見つけ、喜ぶような女性の声が響いた。
彼女は、枯れ果て、倒れた大木に腰掛ける男性へと飛びつくと、後ろから思いっきり抱きついた。
「!?マーガレッド。」
いきなり抱きつかれ、ビックリした様子の彼。
首を捻ってその人物を確認すると、お前か。という風に再び前を向いた。
反応を楽しもうとしていたのに、素っ気なく返され、面白くなさそうに口を窄めると、肩越しに前を覗き見る。
「何してんの?」
「別に…」
「別にって……ん?花?」
のりの悪い彼、ローランに不機嫌になりながらも、マーガレッドは視線の先に小さな花を見つけた。
荒れ果て、一切緑のないこの地に、精一杯咲き誇る真っ赤な花…
微かな風にも、倒れてしまいそうな、弱々しいその花…
「今咲いたばかりだ。」
「へぇー……」
マーガレッドは、その花に触れようと手を伸ばす。
が…
「!」
その花に触れる前に、何が起こったのか、突然色あせ、真っ赤な花はハラハラと散って行く…
みるみるうちに、まるで初めからそこになかったかのように枯れ果てた…
花へと伸ばした手をビクッと震わせ、すぐさま引っ込める…
「いくら綺麗に咲こうとも、すぐにこの様……闇が強まってる証…ヴェインの力だ……」
ローランは、一枚の花弁を掌の上に乗せると、目を細めて握り締める…
マーガレッドは、顔を歪めながら、ローランに身を寄せる…
冷たい風が、粉々になった花弁の残骸を撒き散らす…
まるて、何か知られたくないものを掻き消すかのように…

