その頃、シュウの身に何が起こっているかも、ルリの治療が成功している事さえも知らないある2人は、地下へと続く長い階段を降りていた…
何冊もの分厚い本を片手で軽々と持ちながら、リズミカルに階段を降りる、背の高い黒髪を三つ編みにした少女、マリンと、
薄い本を何冊か重そうに抱え、不機嫌そうに口をへの字に曲げた、襟足の長い赤みがかった髪、ニッと笑うと八重歯の覗く少年、ライナスである。
「どこまで続くんだよ、この階段は!」
少年のその叫びは、虚しく暗闇に響いて行く…
どこまでも続く暗闇を、うっすらと照らす何本もの蝋燭。
左右等間隔の距離に置かれている。
上を見上げても、地下へと入ってきた入り口の光は少しも見えてこない…
見えるのは、永遠に続く暗闇のみ…
地下何階かもわからない程進んで行くと、やっと目の前に扉が現れた。
ハァ…とホッとしたように溜息を吐くと、手にしていた荷物を抱え直す。
大きな錠前を外し、グルグル巻きにされているチェーンを取り除く。
最後に鍵を差して回すと、カチッという音と共にその頑丈な扉は開かれた。
何の音もなくその扉は開くと、部屋の中の灯りに火が灯る。
その部屋の中に足を踏み入れようとする2人だが、その足は、部屋の中を目にした途端動きを止めた。
「「……」」
無言でその光景を確かめるように、目をパチパチと何度も瞑る…
数分の間、沈黙が続く…
彼らが目にしたのは、本や資料で散らかる資料室…
沢山の本棚はあるものの、その本棚の中には一切本は並べられていない…
机の上には、開きっぱなしの本と、山積みになった本の数々…
床にまで本はバラバラと散らばっていて…
頼まれた仕事をするやる気を失う光景…
「…俺、ちょっと用事思い出した…」
ハハッと笑いながら、立ち去ろうとするライナス。
その彼の顔は、どこも笑っていない…
「逃げるあるか?」
そこから立ち去ろうと、一段目の階段に足をかけ所で、襟を捕まれて連れ戻されてしまった…
そしてそのままの勢いで部屋へと連れ込まれる…

