どこからか、暖かい風が頬を撫でて行った…
その風は辺りの草花を揺らし、春の匂いを辺りに撒き散らす…
辺りから、苦しみ嘆く叫び声が聞こえてこない…
聞こえたのは、あの2つの音のみ…
それ以外、気になる音は聞こえない…
何故…?
何が起こったのだろう…
何があったんだろう…
フウは…?
フレイは…?
2人は大丈夫なのか…?
何が起こっているのか気になり、恐る恐る目を開ける…
視界がはっきりし、ピントが合う…
見つめた先にあったものを目にすると、シュウは信じられないという風な表情をしていた…
彼が見たもの…
それは……
フウの前に立ち、漆黒のDRAGONを剣1本で止める、フレイの姿…
それも、細身の、短剣で…
そして、片手で…
それだけでも信じられないのに、彼は集中するかのように、目を瞑っている…
《グウゥゥゥウゥゥ…》
フレイに止められ、悔しそうに鳴き、抵抗するが、どうする事もできない…
そんなDRAGONを知ってか知らずか、フレイはゆっくりと目を開けると、爽やかに微笑む。
「主の元へ帰るんだ。素直に聞いてくれれば、痛い目にはあわないよ。」
爽やかなその笑顔も、今の彼の笑顔からは、どこか寒気を覚える…
そんな彼の微笑みを目にしたDRAGONは、怒りを露わにし、力任せにフレイに襲いかかろうとする…
だが、DRAGONを押さえた短剣はびくともしない…
否、フレイがDRAGONを押している…
何とか抵抗しようとするDRAGONを見て、フレイはハァ…と呆れたように溜め息を吐いた…
そして…
瞳を閉じ、スッと右手を挙げると、一回り大きい赤い剣を天に突き立てる…
「《闇を照らす赤き炎……我今罪罰す…》」
辺りに響く彼の声…
その声を聞いた炎の如きDRAGONは雄叫びを上げ、彼の力になる…
彼の周りを、熱い熱風が吹き荒れる…

