その瞳から目を反らしたい…
全てを思い出しそうだったから…
あの時の光景が、目の前に映し出されそうだったから…
真っ赤に燃える家々や…
血に染まる草花が…
憎むようなあの瞳も…
泣き叫ぶ人々の声…
全てが
この地に再現される…
なのに
どうする事もできなかった…
目を反らす事も…
DRAGONを止める事も…
何も…
できなかった…
紺色の瞳を大きく見開きながら、石のように動かなくなったシュウ…
揺れる瞳からは、涙が零れ落ちそうだった…
そんな彼の姿を睨むように見下していたDRAGONは、何もしようとしない主を確認すると、闇に溶ける巨体は宙へと舞った…
そして、飢えた瞳は何かを捕らえる…
獲物となる人物を…
それを悟ったシュウは、なんとか体を動かすと、DRAGONの瞳に映る獲物となる者へと視線を向ける…
漆黒の瞳と紺色の瞳…
2つの瞳に映る者、それは…
「…フ…ウ……」
震える声でその人物の名を呼ぶ…
だがその人物、フウは、宙へと舞う漆黒のDRAGONを睨んだまま、動こうとしない…逃げようとしない…
「…止めろ……止めてくれ…………頼む…頼むから……止めてくれ!DRAGON…!」
掠れる声で精一杯叫ぶが、その声はDRAGONには届かない…
地に置いた掌をグッと力強く握り締める…
DRAGONの瞳にはフウの姿しか映らない…
歯を剥き出しにして、今にも襲いかかろうと羽ばたいた…
目にも留まらぬスピードで、フウとの距離を縮めて行く…
そして、鋭いひづめを伸ばし、巨大な犬歯を覗かせながら、彼女に食いかかる…
この先の光景が、目に浮かんだ…
真っ赤に染まる光景が…
もう二度と目にしたくない光景が…
現実から逃げるように、シュウは目を瞑った…
視覚を閉ざし、辺りの状況を把握できるのは、聴覚のみ…
早まる自分の心臓の音が、やけに耳に響く…
そして聞こえたのは…
《グガアァァァアァァー》
DRAGONの雄叫びと…
何かがぶつかる音だった…

