真っ赤な十字架を目にしたシュウは、腹部から手を放し、両手でDRAGONの模様の刻まれた柄を握った。
そして…
彼はDRAGONを出現させる…
闇に溶け込む、鋭い瞳をした漆黒のDRAGONを…
目を瞑り、意識を集中させる…
彼の周りに漂う空気が、どんどん緊迫して行く…
草花は震え、風は唸る…
一際大きな風が吹き、彼の紺色の髪を揺らすと、パッと勢い良く瞳を開く…
その瞳は、今までの彼の印象からは思いもよらない、敵に立ち向かおうとする、強い意志を持った瞳だった…
その瞳を見て、フレイは微かに口の端を緩めると、再び地を蹴る…
スピードを上げ、2つの剣をシュウへと向けて走るが…
その足は、シュウとの距離が半分に縮まった所で止まった…
そして、何があったのか、ダランと力なく両腕を下ろす…
彼の赤い瞳に映っていたのは、地に膝を付き、肩で息をするシュウの姿…
大きく目を開きながら、肩で息をする…
その彼の荒い息遣いが、遠くまで聞こえてきそうだった…
額から、止めどなく流れ続ける汗…
その汗は、涙のようにポツポツと地に落ちて行く…
締め付けられるような胸の痛み…
耐えるように、胸に置いた手を握り締める…
グッと力強く目を瞑るが、その瞳は何かに驚くように大きく見開かれていた…
伏せていた顔をゆっくりと上げる…
その瞳に移ったのは…
頑丈な鱗…
闇のような鋭い瞳…
鋭く長い爪
そして……
闇に溶け込む、漆黒の体…
彼の…
シュウの身体の内で眠る、漆黒のDRAGON…
目の前に現れたそのDRAGONの漆黒の瞳は、いつものDRAGON瞳とは違っていた…
だが、その瞳には、見覚えがある…
あの時と同じ瞳…
飢えた、血に飢えたその瞳…
町を火の海にした、あの日の、瞳…
ルリの父親を殺した、あの時の…

