「……ッ………ケホッ…ケホッ………」
静かに時が過ぎるその部屋の中、咳き込むような、微かな音がした…
そして部屋に響く機会音…
ある少女から目を反らしていた皆は、一斉ににその少女へと目を向けた…
そして、彼女の姿を見ると共に、大きく目を見開く…
「心拍…回復……」
「どの器官も正常通り……異常…なし………」
機器に目を向けたカナメとナツキは、驚きの表情を浮かべたまま、そう呟く…
それを聞いたレオンは、早足で少女の元に急ぎ、状態を確認していた…
規則正しく動く胸…
小さな唇は、生きようと必死に空気を吸っている…
「…助…かった……」
彼女の状態を確認すると、彼は信じられないというように、ゆっくりと、そう言った…
そして、緊張していた糸が解れたかのように、強ばっていた表情が穏やかになる…
『助かった…』
その言葉を聞いたカナメは、両手で顔を覆い、小刻みに肩を揺らす…
そんな彼女の肩を優しく抱き、自らに引き寄せ涙を拭うナツキ…
部屋の奥にいたミズハは、ウルウルと涙を浮かべ、手にしていた瓶を落としてしまいそうだった…
彼女の隣で、顔を反らしながらメガネを取り、目頭を押さえる、フジ…
そして、口元に手を添えながら、大粒の涙を流すレナ…
皆それぞれが、涙を流す…
喜びの、涙を…
苦しみの涙ではなく、彼女…ルリの為に流した、涙…
彼女の手を握るシュウは、目尻に涙を浮かべながら、ニッコリと笑っていた…
まるで、ベッドで眠る彼女に、「よく頑張ったな。」と語り掛けるかのように…
先程まで、物静かで、どこか暗かったこの部屋の中…
自らの鼓動の音が聞こえてしまう程、静まり返っていたその部屋が、様々な音で満ち溢れる…
泣き声や…
笑い声…
ホッと溜め息をつく音に…
何者かが話す音…
そして、規則正しく鳴る機会音…
そんな様々な音で、一気に部屋の中が騒がしくなっていた…
まるで、音の消えた部屋の中で、一斉にオーストラリアが楽器を奏でるように…

