BLACKNESS DRAGON ~希望という名の光~

顔を上げた彼の頬を、汗が流れたような、そんな錯覚を見たような気がした…



そして、ゆっくりとたがが、確実に、こう言った…





 「……息が…ない……」




と…




周りの皆が、一斉に息を呑む…

身体中から、血の気が引いて行きそうだった…

全身から力が抜けて、この冷たい床へとへたり込んでしまいそうになる…




ジッとルリを見つめ、乱れた髪を雑にかいて更に乱すと、鋭く研究員を見つめ、指示を下す…


その鋭い瞳は、リーダーとしての瞳…
仲間を救おうとする者の瞳だった…



「フジ、ミズハ、薬の調合を!」

 「わかりました。」
 「はいぃ。」


指示を受けると、素早く様々な薬の瓶が置かれた棚へと向かい、、薬の名前を念入りに確認しながら調合を始めた…



 「カナメ、ナツキは状況の把握を!」

 「やってるわ。」
 「おぅ。」


そう言われた2人は、既に椅子に腰掛け、機器の画面を見つめながら、目にも留まらぬ速さでキーボードを打っていた…




レオンだけでなく、彼女達も、ルリを救おうと必死だった…

迷っている暇なんてない…

素早く行動に移し、最善の努力を尽くそうと、一生懸命だった…



 「レナは……」


最後に彼女へ指示を出そうとするが…
途中で言葉を止めた…



レオンは何も言わず、彼女に歩み寄ると、彼女の茶色い髪を優しく撫で、一番大きな機器の前へと歩いて行った…



優しく頭を撫でられたレナは、胸の前で両手を組み、その場に立ち尽くしたまま顔を伏せていた…

顔を伺う事はできないが、彼女の身体は、微かに……否、確かに震えていた…




誰も言葉を発しない…

聞こえるのは、止めどなく流れるキーボードを叩く音と、鋭く響く、ガラス同士がぶつかり合う音…



真剣にデータを見つめるレオン…

キーボードを無我夢中で叩くカナメとナツキ…

慎重に薬の調合をするフジとミズハ…

そして…

唇を噛み締め、肩を震わせるレナ…



彼女の瞳から、一粒の雫が零れ落ち、真っ白な床に、本当に小さな水たまりができていた…