腕の中に収まっている小さな少女の体から、今まで伝わっていた震えが伝わってこない…
大声も出さず、声を押し殺すように涙を流していた彼女の声は、聞こえなくなっていた…
彼女をギュッと抱き締めていた腕から力を抜き、そっと身を放す…
「…落ち着いた…?」
肩に手を置き、彼女の目の位置までくぐむと、遠慮がちに顔を覗き込む…
すると、彼女はほんのりと頬を染めながら、恥ずかしそうに目を上げて彼を見ると、ゆっくりと頷いた…
顔を染め、上目遣いで見つめられたシュウは、何故か自らの顔をも染めていた…
雲から顔を覗かす太陽の下、2人は共に笑い合う…
とても幸せそうに…
満面の笑みで…
空から見守る太陽も、側に寄り添う風も、全てが2人の笑顔に微笑んだ…
風に乗ってやって来た花弁は、まるで花吹雪のように舞い、水の流れる心地良いせせらぎが耳に入って来る…
自然に癒され、心を落ち着かせていたそんな時…
「あ、あのぉ…」
どこからか聞こえた、遠慮がちに囁く声…
キョロキョロと辺りを見回して、その声の人物を探すと…
古びた扉の隙間から、ヒョコッと顔を出す人物が…
「ミズハ…?」
垂れ目の、前髪を長く伸ばし、横に分けた女性…ミズハである。
「お取り込み中失礼しますぅ。準備ができたとの事でぇ。」
どこか憎めない、独特な口調でそう伝えると、返事を待つように2人を交互に見つめる。
ミズハの言葉を聞いた瞬間、隣に立つルリは、どこか不安そうな顔を見せ、それを隠すかのようにグッと拳を握る…
そんな彼女にどう接するべきか迷いながらも、シュウは彼女の前に立つと、スッと手を伸ばし、手を差し伸べる…
彼の行動に、驚いたように大きく目を開き、パチパチと瞬きをしながらシュウの顔と差し伸べられた手を見つめる…

