彼女の大きな瞳から、ポロポロと大粒の涙が流れ出した…
もう、流れないと思っていた涙が…
枯れたと思った涙が…
どこからか溢れ出てくるんだ…
我慢しようとしても…
抑えようとしても…
その涙を、止める事ができなかった…
無言でその様子を見つめていたシュウは、手摺から手を離すと、彼女の腕を掴み、自分の胸へと引き寄せる…
腕を引かれた彼女の小さな体は、彼の腕の中にすっぽりと収まった…
彼女に触れて、改めて確信した…
彼女の体が、小刻みに揺れている事に…
体で、心で、死にたくないと、叫んでいる事に…
彼女の頭と背に回した腕に力が入り、彼女をギュッと抱きしめる…
その震えを止めようと…
苦しみから救おうと…
「大丈夫…大丈夫だから……絶対死なせない…絶対助かる……助けてみせる……」
優しく囁くシュウ…
懸命に、彼女を闇から救い出そうとしていた…
彼女も同じように、闇に差し伸べられた彼の手を掴み、必死に光を目指す…
直に伝わってくる彼の温もり…
今まで感じた事のない、暖かな温もり…
その温もりは、凍り付いていた彼女の心を優しく溶かして行く…
冷えきっていた心を、温もりが包み込もうとしていた…
私は今まで、この日まで待っていたのだろうか…
この温もりを、欲していたのだろうか…
誰からも愛されなかった自分が、望んでいたもの…
探してたのかな…
自らの居場所を…
自らを受け入れてくれる人物を…
自らの存在を認めてくれる人物を…
そして、暖かな、仲間達を…
この12年間…
ずっと…
オレンジ色の太陽は、真っ白な雲から顔を覗かせながら、2人の姿を照らす…
清らかな風は、2人を優しく包み、心に宿る悲しみを吹き飛ばしていた…
暖かな温もりに包まれて、体の震えはどこかへ消えてしまった…
溢れ出ていた雫は、枯れたかのように姿を消した…

