「全てって…?」
「シュウのDRAGONの魂が、元に戻るって事も…自分の命が、助かる見込みは少ないって事も……」
共にどこかを見つめたまま、話を続ける2人…
そんな2人の目の前を、緑の葉が風に乗って舞っていた…
「…これで、やっと死ねるんだって……やっと罪を償えるんだって……そう、思った……」
死ぬ…
その言葉を彼女の口から聞きたくなかった…
耳を塞いで、聞こえないようにしたかった…
でも、彼女は今確かにそう言った…
死ぬ…と……
救えなかった…
彼女を死という闇から…
導けなかった…
闇を照らす光へと…
手すりに添えていた手に力が入る…
グッと力強く握り締め、握った拳が、プルプルと震えていた…
「…でも……」
そんなシュウの状況など知らないルリは、尚も前を見つめ、ボソッと呟いた…
「でもね……私……私…生きたい………」
震えていた彼の手は、その言葉を聞いた瞬間、ピタッと動きを止めた…
そして、力強く握っていた拳から、力が抜ける…
生きたい…
そう言った…
驚きの表情で横の彼女へと目を向ける…
するとそこには、風に髪を靡かせ、顔を隠すかのように顔を伏せる彼女の姿が…
そんな彼女の体は、微かに震えていたように見えた…
寒さなどからではなく、苦しみや怒り、悲しみに身を振るわせる者のように…
「…初めて、そう思った……今まで、死ぬ事しか考えてなかったのに…死ぬ事で罪を償う事しか、考えた事なかったのに……
なのに、死を目前にして、自分の本当の思いに気づいた…死ぬのが怖いって……
死を恐れる自分が、ここにいるって……」
手すりに添えられていた小さな掌が、力強く握り締められる…
息を詰まらせながら話し続ける彼女の姿に、彼は何もできずにいた…
ふと風が止み、何の音もしない中、彼女は肩を振るわせ、口元に手を添えながら、前を向く…
そして、震える声で言った…
「…死にたくない………私、死にたくない……死にたくないよ……」

