なんだか嬉しくて、
なんだか微笑ましくて、
頬が赤くなるのを感じた…
その頬を隠すかのように掻いたシュウは、レオンに微笑み返すのだった。
「考え事なら、屋上に行くといい。新鮮な空気を吸って、心を落ち着かせろ。」
レオンの言葉に、頷いて返事を返すと、シュウの頭に、再びレオンの大きな掌が触れた。
「何があったか知らないが、あまり1人で悩まないようにな。」
優しく微笑みかけ、シュウの頭をクシャッと撫でる。
呆気に取られた様子の彼の紺色の髪が、風に吹かれたかのように乱れていた。
その乱れた髪を直す事もなく、ポカンと口を開けてレオンを見つめていると、治療室の扉から、1人の人物が現れた。
濃い茶色の髪をポニーテールにした、可愛らしいその人物は、シュウを目にすると、礼儀正しく頭を下げ、レオンを呼んだ。
名を呼ばれた彼は、彼女にすまんすまんと謝りながら、シュウの頭をポンポンと叩いて手を上げると、背を向けて歩き出した。
決して走ろうとはせずに、それでいて信頼できるような彼の大きな背中を、シュウはジッと見つめていた。
すると…
「ルリの事なら心配するな。」
振り向く事もなく、レオンは口を開いた。
そして、姿を消す前に彼は言い残す…
「必ず助けてみせる。」
「レオン……」
静かな廊下の中、その言葉が、シュウの心に何度も響いていた…
わかってたんだ…
初めから…
ルリの事が心配で、悩んでるって事…
彼は、気づいていたんだ…
レオンの優しい笑顔を思い出しながら、シュウはそっと自分の頭へと手を伸ばした。
そして、そっと乱れた髪に触れる…
彼の暖かさが残ってるようだった…
皆を安心させる、彼の温もりが…
「…ありがと…レオン……」
ゆっくりと髪をときながら、彼に礼を言うと、身を翻し、その場から立ち去った。
誰一人とない、静かな廊下の中、コツコツと先程の重い雰囲気のない足音が、治療室の前から遠退いていた…

