少女は部屋の端に移動した。
そこにあるのは、椅子のない、小さな机
。
その机の上は、綺麗に整理され、コップが1つだけ置いてある。
コップの中には、水だろうか、透明な液体が入っていた。
机に近づくと、そのコップの上に手をかざす少女。
何をするのだろうか…
少女は目を閉じ、口を開く…
「…我、血を継ぐ者也……」
「?…」
(呪文…?)
彼女は、ボソッと呪文のような物を唱えると、かざしていた指に傷をつける…
何の迷いもないその行動…
本当に不思議な子だと、改めて感じた。
少女の指から、一粒の血が零れる…
その血は、コップの中の液体に溶け込んでいく…
「…!」
何をしているのか、じっと見ていると、そのコップから光が溢れ出した…
眩しさの余り、目を覆うシュウ。
光が満ちたかと思うと…
ガタガタッ…
床が揺れ、何かが崩れ落ちたような音…
恐る恐る目を開く…
そこにあったものは…
「!地下!」
机の下に大きく穴が空き、地下へと通じる階段が現れた…
不思議な事が沢山起こる…
今日はなんて日なんだ…
地下への穴を見つめるシュウ
それにも目もくれず、少女は地下へと下りて行く。
置いて行かれまいとその後を追うシュウであった。

