1人だけ名を呼ばれなかったラルフは、俺は?と言う風に自分に指を差す。


 「貴方は、結界をお願いします。」

 「結界!?」

 「はい。何か問題でも?」

 「あるさ!何が結界だ!俺は…」

 「だったら、貴方をこの中から外しても構わないんですよ?」


目を細め、相手を脅すようなその目つき…

その女の子のような顔には似合わない、威圧感にラルフは押され、ごくっと唾を呑む…


  「……わかったよ…」


呟くようにそう言うと、カイリは口の端を上げるだけだった。




 「それでは、頼みますよ。死ぬ程の怪我を負っても、大丈夫な結界を。」


ラルフから目を離し、シュウ達に向けた瞳は鋭く、どこか冷たかった…


恐怖を覚えるようなその瞳に、息を呑みながら、グッと拳を握る。


そして、互いに頷き合うと、自らの相手に真剣な眼差しを送る。





灰色の雲から覗く太陽が、彼らの無事を願うように見つめていた。



こうして、彼らの特訓が始まったのだ…