「…」
アスカが出て行き、部屋は静まり返っていた…
気まずい雰囲気…
シュウは、出ていこうかと迷っていたが…
「シュウ。」
「!?」
突然、少女がシュウの名を呼んだのだった…
教えてもいないシュウの名前…
何故…
「あなたの名前、でしょ?」
驚いているシュウに、首を傾げる少女。
ウェーブのかかった茶色い髪が揺れる。
「あ、あぁ。なんで…」
「聞いたわ。」
「聞いた…?」
誰に聞いたのか…少し気になった…
俺の名前は誰も知らないはずだ…
この町に知る者もいなければ、話す者などもいない…
町人からは、あいつたどかDRAGONの奴だとか…
名前など、無いに等しかった…
だが、少女はシュウの問いに答える事も無く、ベッドから立ち上がる。
そして
「着いてきて。」
「?」
そう言うと、シュウに背を向け、部屋の端へと歩いていった。
俺は、よくわからなかったが、彼女の後についていく事にした。
名前についての疑問は解けなかったが、いつか聞けると信じて…

