頬の十字のマークが更に光りを増し、全身の血を吸い取って行く…
足の先から…
指先から…
どんどん血の気を失い、冷たくなっていく…
ぼやける視野…
揺れる世界…
クラクラする頭…
酷い頭痛…
俺、死ぬのかな…
闇に、落ちるのかな…
俺…
全身から力が抜け、何かが掌から地面へと落ちて行った…
「…?…」
停止する思考の中、それを見つめるライナス…
彼の掌から落ちたのは、銀色の花をかたどった、シンプルなネックレス…
そのネックレスを見つめると、ある少女の笑顔が見えたようだった…
華やかな、その笑顔…
「カルーア…」
カルーア…
華やか彼女の笑顔が、突然歪み、悲しみを含む笑顔へと変わった…
『私、この世界を見てみたいです。青いと言われるその空を、花々を…』
『俺が見せてやる。俺が一人前の魔法使いになって、お前に見せてやるよ。この世界を。』
『ライナス…私は貴方を信じます…待ってます。ライナス…』
いつか約束したその言葉…
一人前の魔法使いになって、カルーアの目を治す…
俺、お前に色んな約束したんだよな…
『ライナス、待ってますから。生きて、帰って来て下さい。』
カルーア…
全身から血を失ったように青ざめた肌…
氷のように冷たく冷えていた…
彼の体の中である一部だけは赤黒く輝き、脈を打つかのように疼いていた…
どこかを見つめ、意識のないようなライナス…
それを確認すると、ローランは、これで最後と言うように、彼の顔に指を近づけ、指を鳴らそうとした…
が…
ガシッ…
「!?」
その腕を掴まれたローラン…
動ける筈のない彼が、ローランの手首を掴んでいた…

