彼の動揺する気持ちなど知らず、未だに見つめるルリ…
もし、あの時、貴方がいてくれたら、私は…
何かを思い出したのか、顔を斜めに向け、彼から顔を逸らした…
「ルリ…?」
顔を逸らす時に見えた、何かを悲しむような辛い瞳…
その瞳を見たシュウは、心配そうに彼女の名を呼ぶ…
すると…
「お願い、シュウ……」
彼女は顔を上げ、再びシュウを見つめた…
潤む茶色の瞳で…
「お願い……その瞳だけは、汚さないで……闇には、落ちないで……」
強く願うルリ。
そんなルリを見て、何故そう願うのかも、何故悲しそうな目をするのかも知らないシュウだが、コクリと頷いた。
「大丈夫だよ。闇には落ちない。俺は、この世を闇から救う。ルリも、マリンも、ライナスも、全ての人々を、闇から救う。」
彼女を悲しみから救うようなその言葉…
強い決意の籠もったその紺色の瞳を見つめ、安心したのか、ルリはニッコリと笑った。
いつもの、優しい笑顔…
悲しみを含まない、笑顔…
その笑顔を見て、シュウも微笑む。
静かな夜の中、笑い合う2人。
そんな2人を霧が包む…
幸せな時が流れるように見えた。
だが、彼らの周りで、何かを伝えようと、精霊達が叫んでいた事に、2人は気づく事は無かった…

