そんな時、

短剣を構えるシュウの相手が、タンッと地を蹴り、シュウに襲いかかってきた…


敵の動きに気づき、防御の姿勢を取ろうとしたが…



 「……っ!早い!」

地を蹴ったかと思えば、もう既に目の前に…

あまりの早さに、防御する暇がない…


後ろに後退し、何とか交わそうと試みるが…


敵の短剣が、頬を掠めた…

 「ッ……」

横にできた赤い筋…
ツッと伝う赤い雫…


全ての事に驚かされ、目を見開きながら、背後へと消えた相手へと目をやる。


少し離れた地に足をつき、低く構え、こちらに振り返ると、短剣をクルッと回して握り直す。



その時見えた、短剣の柄に彫られた模様…

細い柄に刻まれた、瞳までもが青い、DRAGONの模様…


その模様が意味しているもの…


それは…
DRAGONの、主…



シュウは、自らが手にする剣へと目をやる。

漆黒のDRAGONの模様が彫り込まれた、シュウの剣…

そのDRAGONは、彫り込まれた絵自身が生きているかのように、威圧感を漂わせていた…



DRAGONが彫り込まれた短剣の柄…
ならば、DRAGONの主…


ハッとしたシュウは、柄へと向けていた視線を相手へと戻す。

が、既にそこにはおらず、


再び襲いかかろうと飛び出した所だった…


開きかけた口を閉じ、今度は上手く攻撃を剣で交わす。

だが、攻撃を防いだかと思えば、すぐに次の攻撃が…

交わす事しかできず、後退するのみ…
為す術がない…



 「っ……まっ…待て……!」

 「…」

何とか相手を静止させようと試みるが…

訊く耳を持たない様子で…



イラッとしながらも何とか耐え、何度も繰り返してくる攻撃を一度振り払うと、相手との距離を取る…


照りつける太陽が、彼の額に浮かぶ汗を輝かせた…