晴れ渡る空。
昨夜の荒れた天候とは正反対に、雲1つなく、太陽が地を照らしていた。
葉についた雨の滴が、太陽に照らされ、宝石のごとく輝く。
「んぁぁぁー…」
昇ったばかりの暖かな太陽の下、大きく伸びをするマリンの姿があった。
彼女の周りには、マリンの行動をポカンとした表情で見つめる3人。
今4人は、集落の見える丘の上にいた。
朝がきたばかりのこの時間に、ここにいるのには訳がある。
集落の人々が目を覚ます前に、ここを発つと、マリンが言い出したのだ。
昨日の戦いで力を使い疲れ果て、いつの間にか眠っていた所を、無理矢理起こされた3人。
いつもなら、こんなに早く起こされれば、文句を言い、反抗するライナスであるが、今日は違った。
眠そうに目をしばしばさせているものの、おとなしくじっとしていた。
「じゃぁ、行くあるよ。」
集落へと背を向け、歩き出すマリン。
昨夜と打って変わって、元気な彼女。
「なぁ、マリン…」
「?」
鼻歌を歌う彼女を見て、ライナスは口を開くのだった。
「発つ前に、最後にディックに会わなくていいのか?」
「……」
その言葉に、動きを止める…
傷に触れたかと目を伏せるが…
振り返ったマリンの顔は、満面の笑みで満ちていた…
「ディックは、マリンと一緒にいるあるよ。」
胸に手を当て、ニッコリと笑う。
今の彼女の笑顔は、無理に笑っているようには見えなかった。
「だから、最後なんかじゃないある。ディックは、ずっと一緒ある。」
「…そっか……なら、いいや。」
マリンの言葉に安心したのか、ライナスはニッと笑う。綺麗な八重歯をのぞかせて…