地面に腰を下ろすライナスとマリンの2人は、剣を振るう2人を見つめていた。
ライナスはボーッと目を向けているだけだが、マリンは真剣な面もちである。
「なぁ、力互角じゃねぇか?」
「違うある。」
「?」
「シュウの方が上ある。」
ライナスを見る事なくマリンは続ける。
確かに、互角に見える戦い。
しかし、経験豊富なマリンが言うからには、本当なのだろう。
「は?あのルリより上だと?」
「そうある。しかも、まだシュウは全力じゃないあるよ。」
「嘘だろ……あっ!」
前を向いたライナスは、声を上げて、立ち上がっていた。
何が起こったというのだろうか…?
ライナスの目に映った者…
それは…
シュウに押し倒され、喉元に剣を突きつけられた、ルリの姿…
剣先と喉元のの距離はない…
少し動いただけで、傷を負う…
「っ……」
冷や汗をかきながら、身動きの取れないルリ。
目の前にいる、シュウを睨む…
真剣な眼差しのシュウ。
フッと、その瞳がいつもの優しい色に変わった。
「……!」
一瞬気を緩め、剣を引いた、その時だった…
倒れていたルリの姿が消えた。
そして、彼女の姿に気づいた時には、もう遅かった…
「!クッ!」
ルリはシュウの後ろに立っていたのだ。
剣を背中に突きつけ、じっとしている。
無言のルリ。
シュウはもう為す術がないと、剣を下げる。
それを合図に、ルリは剣を収めた。
そしてシュウに手を伸ばす。
共に戦った後の、握手。
シュウは、差し伸べられた手を握るのだった。

