BLACKNESS DRAGON ~希望という名の光~



 「いてて……ぉっ…マジで治ってるかも…」

後ろで横たわるライナスは身を起こし、首を回す。

どうやら治ったらしい。

マリン、凄いな…


 「おーい、俺の事、忘れてないか?」

 「?」

 「だって、魔法は教えられないあるよ?」

 「確かに。」


 「そうだが、薬の調合位は教えれるだろ?でなきゃ俺なしじゃ、治療やる奴いないと困るしな。」

ニッと八重歯を覗かせて、笑うライナス。

いつ見ても、その笑顔は違反だろ、と思ってしまう。


 「そう、あるね…」

 「じゃ、そぉゆぅ事で。シュウ、しっかり覚えろよ?」

 「あぁ。頼むな。」

こうして、剣術はルリに、体術はマリンに、ライナスからは治療法を教わる事になった。


全てが決まり、これから何をしようかと思っていると…


 「まずは力を見せてもらわなきゃね。」

そう言って、ルリは俺に剣を振りかざしたのだった。

 「えっ!?」


剣を突きつけられ、戸惑うシュウ。

だが、ルリはお構いなしに、睨んでくる。

その茶色い瞳は、本気そのものだ。


 「私が敵だと思って。」

 「…あぁ…」


そして、シュウも剣を構えると、向かい合った。

真剣勝負。

初めて剣を交じあう2人。


   カキィィィイィィーン!

攻撃を仕掛けたのは、2人同時だった。

押しあう2人だが、どちらも引けをとらない。

互角と言ってもいい程だ。


共に後ろに退き、チャンスを伺う。


睨み合う2人。その横で、木々が風に揺れ、ザワザワと声を出す。

スッと風が頬を掠める。


 「やぁっ!」

それが合図となり、ルリはシュウに斬りかかった。

しかし、その攻撃は、余裕で交わされる。


続いてシュウの攻撃。

素早く、無駄のない動きで、斬りかかる。


交わす事のできたルリだったが、直ぐに後ろに退いた。



強い…初めてのはずなのに…

距離を置きながら、警戒する。

確かにシュウは強い…

経験がないとは思えない程に…