「…」

何もしゃべらない少女…


 「…」

シュウもまた、口を開かなかった…

(……!あの時の…)

目の前の少女の瞳…

あの瞳は、2年前、一度見た覚えがある…

男性の隣で立ち尽くしていた、あの少女だ…



いきなり、彼女の手が飛んできたのだ…


       ピシッ!

 「っ!…」

熱を持った頬に手を当てるシュウ…

一瞬、何が起こったのか理解できなかった…


その少女は、俺の頬をひっ叩いていたのだった…


そして少女は口を開く…
シュウを未だに睨みながら…

 「あなたのせいよ…」

 「…」

 「あなたが私から全てを奪ったのよ!」

そう叫ぶと、少女は再びシュウに殴りかかろうとする…


しかし…

 「止めろ!」

それを、兵士によって止められた…

女性は取り押さえられた…


 「返して…返してよ!」

少女は、兵士の腕を振り解こうともがきながら、シュウに叫ぶ…

 「…」

何がなんだかわからなかった…
何が起こったのか…

あの男性の事について恨んでいるのか…

そうだろう…
俺が殺したのだから…


その時だった…

俺の腕に、鋭い痛みが走る…


 「っ…!」


この痛みは…


この、痛みは…