「ふぁー……んぁぁ…」

 「…はぁ…んん…」

 「ふぁぁ………」


空は赤く染まり、高かった温度も、急に低くなる…


そんな夕焼けの中、大きな口を開けて欠伸をしたのはライナス。

それに続き、マリン、シュウと欠伸をした。

まるで、欠伸が伝染するように



3人は、ライナスから傷の手当てを受け、先程の戦いで受けた傷は、体から消えた。


だが、精神は回復できておらず、疲れ果てたのか、じっと目前の赤く光る薪を見つめていた。



ユラユラと、風に揺れ、炎の大きさを変えながら燃える。


眠気を誘う小さな炎。



欠伸をして、涙を拭うように、目をゴシゴシと擦るマリン。
だがその目は開いておらず、既に寝ているといっていいだろう…


一方、あぐらをかくライナスの体は、後ろに行ったり、横に傾いたり…
起きたかと思えば、前にガクンと揺れる。


かろうじて起きていたシュウは、そんな2人の様子を見て、微かに微笑んだのだった…



そして薪の向こう側では、いそいそと何かやっているルリの姿が…


彼女は、疲れているだろうと、3人をここに座らせて、1人でテントを張っているのだ。

手伝うと言ったが、頑として断られた。


ルリの小さな体が、あっちに行ったり、こっちに行ったり。
その度に、ウェーブのかかった茶色の髪が揺れる。


その様子を、大きさを変えながら燃える炎を通して見つめていると、ドッと睡魔が襲いかかってきた…


眠る気はなかった。
でも、何だか抵抗ができなくて…


そのまま夢へと導かれるままに、身を任せた…




赤く染まった空では、小さく光る宝石が、姿を現したばかりだった…